インターハイの中止

昨日の4月26日、

全国高校体育連盟より今夏の全国高校体育大会を

中止する旨が発表されました。


こうなることは既に予想しておりましたが

実際に決まるとやはりショックのようで。


全国に行ける力があるわけでも

地方の予選を勝ち抜く力があるわけでも

まして全国を目指してたわけでもないけれど。


それでも学生生活最後の大会が

なくなってしまったことは大きい。


中学生になった時に始めたバスケットボール。


当時はミニバス経験者ばかりの中に入り

特別運動神経が良いわけでもなく

球技が得意なわけでもないド素人だった。


そんな彼女が必死に突っ走ってきた。


背も低くなんの技術もない。

ドリブルもシュートも全くダメ。

一生懸命に練習するも

他のメンバーには追い付けない。


悔しくて悔しくて。

コート内に入るために。

かっこいいシュートも

華麗なドリブルも捨てた。

そんなものは必要がない。


不恰好でもがむしゃらに守って

パスをすることに専念した。

自分は縁の下の力持ちでいい。

コート内にいれるならばそれで充分だと。


気が付けばスタメンとして

副キャプテンとしてコートを走っていた。


中学生最後の大会前に行われた

大人との練習試合で怪我をしてしまい

動くことも困難な状態となった。


それでも知られないように

騙し騙し続けていた。


練習でも顧問が目を離すと

走りに行ってしまう。


少しでも弱みを見せてしまったら

スタメンから落とされてしまうとの

恐怖が常に彼女に付き纏っていた。


全身がボロボロの状態だった。

紹介してもらった病院では

ケア云々ではないと。

ケアすらもできないと。

今はとにかく休んで疲労を抜くように。


でも次が最後の大会。

この時点では高校に進学してからは

バスケをしない可能性が大きかった。


なんとか予選リーグを突破し決勝リーグへ。


この日の1試合目はフルで出場したが

途中から怪我の痛みが再発してしまい

鎮痛剤を服用して2試合目に強行出場。


しかし前半で精も根も尽き果て

後半はベンチに下がっていた。


スタメンのメンバー。

チームメイト。

そして他校の選手たちも。

みんな同じように必死だ。


翌日の決勝リーグの前には

顧問と話し合うこととなったが

一切問題はないと答えておいた。


彼女がコートに立つ姿を見るのは

これが最後なのかもしれないのだから。


この日の決勝リーグはなんとか2位で終え

2日後に開催される次のステージへ。


そして2日後、

1試合目の終了を告げるブザーと共に

彼女たちの中学バスケット生活は終わりを迎えた。


毎日毎日朝から晩までバスケ。

土日祝。

休みなんて殆どなかった。

数多くある学校の中でも一番のチビ揃い。

みんな身長以外は逞しく育ってくれた。


そして高校生になり

スタメンのメンバーは全員別の高校へ。

娘はそのままバスケ生活を続けてくれた。

高校の合格が決まってからは

まだ入学もしていないのに練習が可能かと

1人でバスケ部に挨拶に行ったりもした。


高校のバスケ部は中学生の頃よりはかなり緩く

休みの日も多かったがそれでも日々練習に励んでいた。


今年の高校3年生ってのは

・・・・・本当に言葉がない。


次がんばろう!じゃないもんね。


将来を見据えて

次の試合に逆転を狙っていたり

記録が出るほどに調整できていたり

自らの集大成として

それぞれの目標に向かって

精一杯に取り組んできたことだと思う。


「やっぱ、インターハイなくなった」


消えるような声で発せられた言葉に

なんと声を掛けてよいのか分からなかった。


早朝。

まだ朝の散歩をする人が僅かな時間帯。

それでもマスクをして距離をとって。


5km先の公園へ。


そこにあるたった1つのバスケットゴール。


誰もいない公園でのシュート練習。


もう大会はなくなってしまったけれど。


もう高校生活最後の部活もないかもだけど。


何本もシュートを決める姿。

ドリブルの練習をする姿。


シュートができなくて

ドリブルができなくて

パスだけに専念していた娘。


見違えるほどに成長していた。


身長以外は。


ただ、

今朝の彼女に笑顔はなかった。


この多感な時期に

仲間と一緒に悲しさ苦しさ辛さ、

そして楽しみ喜びを共感できたことは

きっと大きな財産になったと思うよ。


そうなんだけど、


いまはそんなんじゃないよね。


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