人間万事塞翁が馬


4月後半からの繁忙期もなんとか終え

今後の仕事に関しての大きな決断をし

体はきついものの次の繁忙期までの期間

時間もゆっくり過ぎてくれるだろうと

自身の時間も少し確保できるかもしれないと

安堵した直後のこと。


なにかが起こる時は本当に突然。

なにも無く平穏な日常が一瞬で一転する。

全く想像していない予想だにしないことが起こる。


いまさっきまで目の前で普通に動いていた人間が

空を仰いだ状態で全く動かなくなっている。

まさに糸が切れた人形のように。

反応がなく力がなく

脳で理解するよりも速い反応で

全身に緊急アラームが走り抜ける。

少し開いた目にはなにも映っていない。

後頭部からは血が流れ血溜まりができている。

頭で考えている暇などない。


同時に客観的な自分が覚悟を決めろと語りかけていた。


今思えば119に電話をかけているとき

微かに手が震えていたかもしれない。

状況、場所、情報、

持病が多いため更に説明が増える。

そんなことはいいからとにかく来てくれ。

助けてくれ。


何度か語りかけるうちに

少しずつ反応するようになってくる。

しかし目は虚ろで言葉にならない。

間もなくサイレンの音が聞こえてくるも

いつになれば到着してくれるのか。

実際には僅かな時間なのだろうが。


救急車に乗せられて以降の記憶はあるらしい。

最中の息子の叫びや語りかけは知らないと。

いま幸いにも本人とその話をすることができる。

こうして日記に綴ることもできる。

年齢や持病や薬の関係で数ヶ月は安心できないが。


仕事をしていても、テレビを見ていても、

食事をしていても、なにをしている時にでも

あの情景がフラッシュバックしてくる。

ほんとうに、結構キツいもんだ。


あとで話を合わせてみると記憶と全く違った部分があった。


母親に大声で名前を呼ばれたのでそちらを見ると

入り口付近で外を眺めながら激しく手まねきをしていた。

声からして尋常じゃなかったので慌ててそちらに向かい

母親を追い越してして父親の元へとたどりついた。


ところが実際には母親は家の入り口付近にはおらず

父親のすぐ側にいたとのことだった。

そこに僕が駆け付けて来たというのだ。

凄い大声で名前を叫びはしたが現場から動いてないので

家の入り口には立っているわけがないとのこと。


確かによくよく考えると救急車と叫んだ時に

横にいた母親が家に向かって走りだす後ろ姿をみている。

入り口付近で母親を抜き全力で走る僕のすぐ後ろを

高齢の母親がついてこれるわけがない。


でも確かに名前を呼ばれて顔を向けた時には

母親は入り口で外にいる父親を眺めながら

必死で手まねきをして僕を呼んでいたんだけどな。


本来なら繁忙期が終わったので

「1ヶ月しか調整期間がないけれどやります!」

「OSJ山中温泉の会場でお会いしましょう!」

なんて書くつもりだったのに全く違うものとなった(笑)


いやはや、ホント。

なにが起こるか分からないものなんだけど

前を向いて進むしかない。



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