大峯奥駈道(大峯早駈コース)

修験道の聖地である大峰山寺。

命綱を体に縛り頭から吊るされる西の覗き。

日本百名山の八経ヶ岳などなど。


大峯山といえばとても敷居が高く

簡単には出向くことができない場所であり

登頂が困難な山々が連なっている未知の領域だった。


写真やブログで見てはいつか行ってみたいと

指を咥えていることしかできない状況だったが

身近な人間が一気に丸ごと一口で味わっていた。


そんなのもう我慢ができない。


丸ごと一気に全部!僕にも味あわせて!


ってことで、

もりもりさんにお願いして連れて行ってもらった。


2022年9月25日(日)

【メンバー】もりもりサラダ/KATSU

【天候】晴れ

【ルート】

川合登山口→みたらい遊歩道→観音峯登山口→

洞川温泉街→稲村ヶ岳登山口→鐘掛岩(1633)→

西ノ覗岩(1638)→大峰山寺→山上ヶ岳(1719)→

明王ヶ岳(1569)→大普賢岳(1779.9)→弥勒岳(1687)→

国見岳(1651)→七曜岳(1584)→行者還岳(1546)→

湧き水ポイント→一ノ峠→弁天ノ森→弥山(1895)→

八経ヶ岳(1914.9)→明星ヶ岳(1894)→川合登山口

【距離】50.32km(Suunto9)

【時間】13:02'57"(全ての行動含む)

【累積上昇/下降高度】2799m / 2832m

今回KATSU HOUSEを出たのは午前3時過ぎ。

最近寝つきが悪く中々寝れない状態になっているため

この日は40~50分ほどウトウトしただけであったが

真夜中に家を出る興奮もあり睡眠不足はあまり感じず。


もりもりさんの運転で現地に着くと

まだ真っ暗な空には星がたくさん見えていた。

しかも天川村は気温も低く肌寒いを超えて普通に寒い!

早速準備を済ませて暗い早朝5時にスタート。

スタートしてすぐにみたらい遊歩道の入り口に着く。

数年前、シュピさん・もりもりさん・ミフィと

黒滝村をぐるっと一周した時にも通った場所だ。

台風の影響などで雨が続いていたこともあり

水量も多く滝から落ちる水は何倍もの迫力があった。

この日、僕はなにを勘違いしたのか全ての行程を

歩き続けて進んでいくものだと勝手に思っていたために

ロードも走れるトレイルも先に立ち全て歩きで進んでいた。

現状では走ってしまうと最後まで進み続けることは不可能だとの

思いがあったためではあるのだが・・・

後にこれが仇となり最後の長~い下りを走り続けることとなる。


洞川温泉街もまだ賑わいをみせる前の静寂さが心地好い。

登山口方面へ向けしばらくロードを進み続けていると

名水があったり茶屋があったりと楽しめそうな場所が見られる。


母公堂を過ぎその先にある大橋茶屋を越えると

すぐに大峯山の女人結界門が姿を現す。

前回の黒滝村一周の時には企画外であったために

この先には足を踏み入れることはなかった。

というか、ミフィは女性とのことなので入ることができない。

ネットで何度もこの結界門の写真をみて

いつか入ってみたいとの思いが強かったので

この女人結界門をくぐる瞬間は少し興奮した。


まずは1700mを超える場所にある大峰山寺を目指す。

登り始めて直ぐに眩しい太陽が木々の間から顔をみせ

出発時とは打って変わってこの先の気温上昇を思わせる。

大峰山寺に向かうまでには何個かの茶屋があるが

山中にある小屋なので独特の雰囲気がまた良い。

いつか営業している時間帯に訪れてみたいと思う。


普段登る里山や低山と違い1つ1つが新鮮で

神聖で敷居が高いと思っていた場所にいることに感動した。

序盤でこれなのだからこの先ずっと興奮していたと思う。

最後の長い長い下りに入るまでだけど(笑)


茶屋の先では道が二手に分かれており案内板には

【右・平成新道】と【左・古来よりの行者道】と書かれてあった。

もりもりさんがどちらにするか聞いてくれたのだが

即答で【古来よりの行者道】と返答する。

名前からしてそれ以外に選択肢はない。


行者道といわれるだけあって鎖場が何箇所もあったり

キツメの斜度だったりと中々に体力を持っていかれる。

その先に現れたのが表行場の鐘掛岩。

なにも知らない僕は単なる展望台だと景色を眺め撮影をし

先に進もうとするともりもりさんが指し示す進行方向は岩の上だった。

最初は冗談だと思っていたがどうやら本気のようで

てっぺん付近には鎖がぶら下がっているではないか。


まぁ、これがルートだと言われれば

登る以外に選択はないので登っていくわけだが

登るにつれてどう考えてもデンジャラス過ぎる。


なんとかてっぺん近くの鎖が届く所まで登っていくも

そこから先の進み方が分からない。

左手で鎖を掴み、右手で次にある鎖を掴んだら

確実に両脚がぶら~ん♪って空中に投げ出されて

どうしようもない状況になると思うのは僕だけか?

しかも人が触りまくってる岩だから結構つるつるしている。


赤丸付近に鎖が垂れ下がっている。


と、もりもりさんに助言を求めるために下に目をやると

「無理やったらやめときや!俺はここで下りるわ!」

ちょw

他にルートあるのかよw

行場がトラウマになっちまったじゃないかw


そんな感じで「行場=怖い」を教わった。

ここを進んで行く人もいるとのことだが

再度僕がこの岩を登ることはないだろう。


少し先に進むと先程の鐘掛岩の上へ向かうルートがあり

役行者の像が祀られてあった。


赤丸が先程のてっぺん付近に垂れてた鎖。


次なる行場はとても有名な西の覗き。

命綱を体に縛り頭から絶壁に吊るされるやつ。

先人達の問いかけに「はい!」と答えるまで吊るされるそうだ。

もし僕が吊るされて問いかけられたら?

「う~ん・・・わかんない!」とか

「それは無理!」とか言って怒られるかもしれない(笑)

そして行ってみたかった場所の1つだった大峰山寺に到着。

ここまでずっと登り続けているが興奮しっぱなしなので

大峰山寺まではあっという間に感じた。


この日、9月25日は既に戸閉式(9月23日)が行われたあと。

ここに来れただけでも大満足だがいつか必ず開いている時に

訪れてみようと思う。(戸開式5月3日)


山上ヶ岳(1719)とお花畑っていうか笹畑。

時間が経過するにつれて雲ひとつない晴天へ。

水分を多目に必要とする僕には距離を進む縦走や山奥は

人一倍危険な場所となるので毎回みんなより多く背負っている。

今回も予備を背負ってはいたが早朝が寒いくらいだったのと

湧き水があるとのことで安心していたのだが・・・

最高のお天気ということで気温も上がり始め

徐々に水分を欲する時間が短くなり少し不安になってきた。

ただ今回はいつもとは違い秘密兵器を持参している。

なので川さえあれば生き延びることが可能だ!

川があれば(笑)


大峰山寺から以降も女人禁制となるがしばし進むと

結界門が現れ女人禁制の区間が終わりを告げる。


ここから先で出会うハイカーさんは女性の方も多く見られた。

大普賢岳周辺は険しい地形のために修験道の行場がみられる。

山頂からは大台ケ原などの山々を望むことができる絶景。





大普賢岳(1779.9)以降も弥勒岳(1687)・国見岳(1651)と

山頂を踏んで進んで行きはするが修験道の行場だけあって

道中は鎖場や急勾配と険しいものとなっていた。




予想以上に素敵な場所で楽しくて興奮していたが

気の緩みは命に関わることなので慎重かつ安全に。



七曜岳(1584)を過ぎて行者還岳(1546)へ。

この行者還岳を越えると湧き水があるとのことなので

七曜岳付近からあまり我慢せずにがぶがぶ飲み始める。

途中で出会ったソロのトレイルランナーさんからも

湧き水が出ていることは確認ができてなお安心できた。


この行者還岳だったかな?

山頂へ行くにはピストンすることになるのだが

確か案内板には「100m」との表記があったと思う。

もりもりさんもその数字を覚えておいてねとのことだった。

実際には「380m」あったでござる・・・

100m地点なんて山頂すら全く見えない場所。

険しい山容により役行者をして1度は引き返させたという

伝承からこの名前が付けられたらしいから、そらキツイ。

距離じゃなくて標高かぁ!なんて吼えながら登りましたとさ。


さて、茶番は置いといて。

この先にある水場へと急ぐことにしよう。

水場に着いて取り出すはソーヤーミニ!

高性能ポータブル浄水器!

バクテリアや微生物などを99.9%以上除去してくれる!らしい。

ただ放射性物質や細菌よりも微細なウイルスは除去できないのと

海水や河口付近の塩分を含む水には使用できないとのこと。

ここの水はそのままでも飲めるようなのだが

せっかく浄水器を持っているので使用して飲んでみたところ

非常に美味しゅうございました。


飲み水が確保できたのでいざ弥山へ。

弥山まではそれなりの距離があるとのことだが

まだこの時点では残りの全行程も歩くつもりでいたために

ひたすらパワーウォークで進み続けている感じ。


途中にある弁天ノ森(1600.5)を下ってから

弥山の山頂へ向けての登りが始まる。

雰囲気的にがっつり登る感じにみえていたので

ここは本日唯一のトレーニングどころと勝手に決め

どんどんスピードを上げて登っていった。


もちろんのことで弥山が1895mもあるなんて知りもせず。


どんどん息が上がっていく。

もう少しだろうと踏ん張る。

へ、へぇ~1750m超えちゃうか~・・・

さすがにもう見えてくるだろうと耐え続ける。

されど山頂は見えず。

スントを確認すると1800mほど。

た、高い山だったのか・・・

されどまだ続く急な登り。

止まりそうになる体に鞭を打ち進み続ける。

もう限界かも・・・

そ、そうだ・・・

確か山頂でコーラが売っていると言っていた。

そこからはひたすら呪文のようにコーラと呟く。

ぶっ倒れる前になんとか登頂。


コーラ300円

お茶300円

この日1番の贅沢となったが最高に美味しかった!





次はいよいよ八経ヶ岳(1914.9)この日最後の大ボス。

弥山の山頂から見る限りではまだまだ先は長く感じたが

実際にはあっという間に八経ヶ岳の山頂へ辿り着くことができた。


これが日本百名山、近畿最高峰の八経ヶ岳!

ちなみに近畿最高峰というのはこの看板で知った(笑)


いやぁ~まさか近畿最高峰を目指して登っているとは。

以前にも白山の山頂に立って山頂はどこ?

なんて聞くような人間だもんで許して欲しい。

あとは少し下った場所にある明星ヶ岳(1894)に寄ってから

一気に下ってしまいましょう~♪なんて軽い気持ちでいた。

ここまできてまだ走ることなんて一切考えずに。

八経ヶ岳にいたのが15時半頃。

残りは下りばかりだから大したことはないだろうと。

時折スントでルートや標高図などを確認していると・・・

全く進んでいないではないか。

この時期になれば日没は早い。

あと何キロ?10km近くはあるか?

まだまだやね~なんて会話をしていると

もりもりさんの口から「~ジョグなんかも混ぜながら~」

なんて言葉が入っているのを聞き逃さなかった。

なるほど、パワーウォークと言えども歩きまくっていたから

日没に間に合わないよ、暗くなっちゃうよ、ってことか(笑)

そこから先は走り続ける。

しかしながら走れど走れど終わることがない。

まさか最後の最後で超絶トレーニングが待っているとは。


日が落ち始めてどんどん薄暗くなってくるも

山の向きが変わるとまだ明るかったり

人工照明で色をつけたかのように真っ赤になったり

夜を迎える前の山を充分過ぎるほどに堪能した。

なんとかヘッデンを使用するぎりぎり一歩手前で下山。

今年の2月にラン復帰して

8月半ばから計画を立てたトレーニングを始めて以降

この日、初めて限界を超える負荷だったと思う。

全身ズタボロだ。


帰路の途中でもりもりさんから翌日10km走るように言われた。

普段なら走るようなコンデションではなかったが

たまには、素直に言うことを聞いて、10km走った。


更にズタボロになったじゃないかw


今回のルートは本当に素晴らしくあの周辺を一撃で味わえる。

この先、何度でも訪れたいなと思わせるものがあった。

それほどに堪能した1日となった。


日の出前から日没まで、

そして送迎までありがとうございました。


みなさんも是非訪れてみてください。


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